【子供の連れ去り問題】刑事訴訟法の確認
2024/04/04
ブログをご覧いただきましてどうもありがとうございます。
桐生励法律事務所では、現在、子供を連れ去られた親が、子供を連れ去った親を刑事告訴することに最も注力しており、得意としているところです。
本日は、普段は皆さんがあまり見ないと思われる、告訴に関する刑事訴訟法の条文を記載し、確認しておきたいと思います。
告訴については、刑事訴訟法第230条~第238条に定めがあります。
以下がその条文です。連れ去り被害に遭われた皆様に特に頂きたい部分について、太字で示しました。
第230条 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。
第231条 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
2 被害者が死亡したときは、その配偶者、直径の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。
第232条 被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者が配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。
第233条 死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることができる。
2 名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様である。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。
第234条 親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。
第235条 親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。但し、刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国内に派遣された外国の使節に対する同法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。
第236条 告訴をすることができる者が数人ある場合には、1人の期間の徒過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。
第237条 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。
2 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
3 全二項の規定は、請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。
第238条 親告罪について共犯の1人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯者についても、その効力を生ずる。
2 前項の規定は、告発又は請求を待つて受理すべき事件についての告発若しくは請求又はその取消についてこれを準用する。
以上が告訴に関する刑事訴訟法の規定となります。法律の条文をそのまま記載したので、少々難しかったでしょうか。
刑事訴訟法第235条についてですが、まず、「親告罪」とは、「告訴がなければ公訴が提起できない罪」のことをいい、簡単にいうと、「告訴がなければ処罰ができない罪」です。
そして、刑法第224条の未成年者略取誘拐罪は、親告罪ですので、犯人を処罰させるには、必ず告訴をする必要があります。
そして、刑事訴訟法第235条は、告訴ができる期間を6か月と定めており、これを条文どおり読むと、連れ去り被害に遭ってから6か月経過後は告訴ができないかと思われると思います。
しかし、ここも難しい言葉なのですが、「未成年略取誘拐罪は継続犯である」という解釈があります。
「継続犯」というのは、犯罪が成立した後も、違法な状態が続く犯罪のことを示します。
この解釈によると、連れ去り案件においては、連れ去り後6か月が経過した後も、告訴ができるということになります。
現在の警察実務では、このような取り扱いをしているようです。
連れ去られてから6か月以上経っていても、諦める必要はないということです。
次に、刑事訴訟法第237条です。
「公訴の提起があるときまで」というのは、「検察官が起訴するまで」ということを示します。
このときまでは、告訴を取り下げることができます。
面会交流調停などとの兼ね合いで、告訴を取り下げることもできるということです。
ただし、刑事訴訟法第237条第2項には、「更に告訴をすることができない」とありますので、注意が必要です。
つまり、一度告訴を取り下げてしまうと、二度と告訴をすることができない、ということになります。
告訴の取り下げを行う場合には、慎重に検討しましょう。
以上、今回は、実際に刑事訴訟法の規定を確認しながら、子供の連れ去り被害の告訴について注意するべき点を検討してみました。
少々難しい内容だったかも知れませんが、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
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