【神奈川県の刑事事件ならコチラ】私が検事を辞めた理由。
2024/01/18
ブログをご覧いただきましてどうもありがとうございます。
以前、「検察庁ってこんなところ」というテーマで私の検事時代の経験談を書きました。
https://kiryu-hagemu-law.jp/blog/detail/20231222121147/
今日は、私が検事を辞めた理由について、少し書いてみたいと思います。
検事と言えば、捜査です。
そして、捜査と言えば、取り調べです。
検事は、警察から送られてきた事件について、被疑者を取り調べて供述調書を作って、起訴するか不起訴にするか、という処分を決めます。
被疑者や参考人の取り調べ、供述調書の作成自体は得意でした。
上司に褒められることもありました。
ところが。
とにかく時間がないのです。
私は、高校生の時に検察官という職業があることを知り、犯罪を犯してしまった人の再犯を防いで犯罪をなくそうという大志を抱いて、24歳で検事になりました。
しかし。
とにかく時間がないのです。
検事は、警察から送致されてきた事件について、まず、10日間の勾留を請求するかどうか決めます。
この時点でも本当は迷わなければいけないのですが、私は、当然のように勾留請求して、自分で被疑者を勾留しておきながら、たった1回の取り調べで被疑者から十分な事情を聴取できないまま、さらに10日間の勾留の延長を請求していました。
そして、延長された10日間の中で2回ほど取り調べをして、被疑者を起訴したり、不起訴にして釈放したりしていました。
当然1件だけ持たされるわけではありません。
何件もの事件が同時に進行します。
事件は、被疑者ひとりひとりによって全て違います。
ところが、私は、被疑者の人世史や事件の背景など、「なぜこの人がこのような事件を起こしてしまったのか、この人が二度と犯罪を犯さないようにするにはどうするべきなのか」ということを十分に検討しないまま、自分の考えや判断ではなく、相場や基準に従って、被疑者を起訴したり不起訴にしたりしていたのです。
理想と現実は全く異なっていました。
やがて私は、心を病み、検事を続けることができなくなってしまいました。
一般的に言って、現在では、逮捕されて送検されると、ほとんどの事件について検事から裁判官に勾留請求され、勾留請求があると裁判官は勾留状を発布します。
そして、10日経つと、さらにもう10日延長されるのが原則となってしまっています。
本当は逆です。
10日間では足りない場合にさらに10日間延長されるべきなのです。
起訴不起訴の処分もそう。
検事がそれぞれの被疑者から十分に話を聞いて、自分で考えて十分検討して処分を決めるべきなのです。
大学で習った大原則、無罪推定の原則も検察庁の中にはありません。当然のように推定有罪です。
私は、これを受け入れることができませんでした。
弁護士となった今、私は、基本的に、刑事事件は同時に複数の案件を持つということはしていません。
こうすることにより、被疑者(依頼者の方)としっかりと向き合い、十分に話を聞いて、検事に意見することができます。
また、過去の経験でいうと、傷害事件で、最初の10日間のうちに示談ができ、検事による勾留延長請求を裁判官に却下させることに成功したということもありました。
1件しか事件を持っていなかったので、この1件の示談に全力を投入できた、というわけです。
私は、弁護士になって良かったと思っています。
今後も、1件に集中するという方法により、刑事事件の解決に取り組んでいきたいと思っています。
とりとめのない内容となってしまいましたが、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
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